1. プロジェクトマネージャー(PMR/CMR)の役割
プロジェクトマネージャー(PMR/CMR)最大の役割はスクマネジメントであり、重要なのは以下の3点である.
- 専門業者を取入れ
- リスク数量化
- 調達能力
リスク回避の手法として重要なのが以下の2点であるである.
- コンティンジェンシー(contingency予備費)
- WBS(Work Breakdown Structure)
2. 発注方式の選択
発注方式の選択肢の拡大は「公共工事入札契約適正化促進法の施行2001年4月」と「専門工事業イノベーション戦略2000年7月建設省」に密接な関係がある.後者においては建設産業縮小傾向から現状のまま全ての業者が生き残ることは不可能という認識のもと戦略が策定され、変革した専門業者を利用した発注方式選択肢の拡大こそが透明性が求められる公共工事に必要不可欠であるという戦略である.これに至るまで今までは「信用と信頼の一括請負」で「技術競争優位の経営戦略」であったが、バブル期の大量工事量消化のため下請業者に自主管理体制を敷かせその結果「専門工事業への技術移転」がなされたという建設業界の背景がある.「建築産業政策大網1995年4月(建設産業政策委員会)」を契機に研究が進んだ.
基本的発注方式としては以下のの4つがある.
- 設計施工分離の施工一式請負方式
- 設計施工分離の施工分離請負方式
- 設計施工一貫方式
- CM方式
また、CMには以下の3つの形態に大別できる。
- PureCM
- CMatRisk
- MC
3. 調達・購買と生産計画
CMrがプロジェクトに参加し成功を収めるためには次の4点が重要である.
- 最適な調達・購買情報の提供
- 設計段階からの生産計画の検討
- 発注段階での業者の評価
- 施工段階での実践的マネジメント能力
- 1.の調達能力は特に重要である.欧米のCMrは調達能力に長けており、価格にも直接大きな影響をもたらす.
- 2.の「設計段階からの生産計画の検」とは、討工程管理・総合図作成・VE提案が実務上の作業である.より広義では施工計画・分離発注計画も含まれる.
4. PMの現場管理と品質保証体制
- CMの役割
- CMrの目的は、以下の3点である。
- コスト
- スケジュール調整
- 品質管理
- 1.「コスト」は、CMによる分離発注方式により市場競争原理と透明性確保によりコストダウンが推進される.設計施工一貫方式・CmatRiskはOpen Book(施工者が支払領収書の明示)が必須である.
- 2.「スケジュール調整」によるスケジュール短縮はコストダウンにもつながりFast Track(次のフェーズに進むことがリスク許容範囲内の場合成果完了前に次のフェーズに進む)の採用が望まれる.
- 3.「品質管理」の品質とは業種・フェーズ間に発生するすき間のリスク管理でもあリ、いわゆるクレーム処理である.
- CM/PMの大きな目的=役割は、言い換えると、以下の3点といえる。
- Open Bookのチェック
- Fast Trackのコントロール
- クレーム処理」ともいえる.
- 分離発注とパッケージ化
- すき間を少なくすることはリスク管理に有効である.専門工事業者の能力を十分引出し、外装金属CWの場合「アルミ枠+ガラス+シール」と面として補償させる.
- 品質保証体制
- 異業種間・フェーズ間のすき間にリスクの多くが発生.これを管理する.
- CMの必要能力
- CMの必要能力とはすなわち、CMの目的市のものである。以下の3つの総合的リスクマネジメントといえる.
- コスト
- スケジュール調整
- 品質管理
5. PMR/CMR のリスクマネジメント
- リスクとは
- リスクは3つに分けられる.
- 「①予測できるリスク(既知のリスク)
- ②予測できないリスク(未知のリスク)
- 発生の予測不可能もしくは予測されても対策不可能なもの
- ③不可抗力:想定外のもの
- リスク予測に気温湿度等明確な前提条件を想定するがその範囲外のものであり、欧米ではリスクとは別扱いである。
- WBS(Work Breakdown Structure)とリスク低減の方法
- WBS(Work Breakdown Structure)によりプロジェクトの作業構造を分析する.その上で作業構造の予測されるリスクを抽出、発生頻度・影響度を算出・定量化し、分析を加え、リスク低減の対応策を講ずる.その上で算出されたリスク解消策として、発注者の理解のもとコンティンジェンシー(contingency予備費)の確保が重要である.
- コンティンジェンシー(contingency予備費)
- これは「VE」「追加変更工事」とは別個に設ける.日本での某事務所ビルの計画では「コンティンジェンシー」「VE」「追加変更工事」は以下の比率で計画され、また、その実績を以下に示す。
-
| |
|
総工事費に対する割合 |
計画に対する増減 |
| 計画 |
コンティンジェンシー |
2% |
|
| VE |
1% |
|
| 追加変更工事 |
1% |
|
| 実績 |
コンティンジェンシー |
3.7% |
+1.7% |
| VE |
:▲0.9% |
▲1.9% |
| 追加変更工事 |
7.57%( |
▲1.9% |
- .欧米ではコンティンジェンシーを5%程度見るのが通常である.
- コンティンジェンシーのなかで設計に関るものの比率が大きい.はいかのようになり、で設計に関るものの比率が大きい.
- 上記コンティンジェンシーの内訳を以下に示す。
-
| 上記コンティンジェンシーの内訳 |
| 内容 |
総工事費に対する割合 |
| 設計に関るもの |
0.85% |
| 発注者の要望変更 |
0.47% |
| 行政指導 |
0.33% |
| CMrの調整不足 |
0.07% |
- また防災関係など行政指導についても必ず考えておくべきである
6. リスクマネジメントの今後の課題
以下の3つが、リスク管理の今後の課題である。
- 設計図書の充実
- 工事区分の明確化
- 生産計画の設計への取り込み
- 総合仮説計画と工程表の現場での充実